刺青除去に「早い、痛くない、傷が残らない」はありえない

最近では、一般の方でも“タトゥー”を入れることへのハードルが下がっているようです。“タトゥー”は、言い換えると刺青。この刺青を入れる人が増える一方で、結婚や就職、子供の誕生などを機に刺青除去を希望する人が増加しているといいます。そこで、これまで数多くの施術をしてきたドクターに、刺青除去で実際にあった話を伺いました。

ライター:DANVI編集部

「3週間後の研修までに刺青を消したい!」

横浜中央クリニック(中央クリニックグループ)の亀山誠院長の下に、Aさん(男性)が刺青除去の相談に訪れました。転職が決まって、3週間後には転職先の研修のため関西に行かなくてはならなくなったそうです。

Aさんはファッションで腕に刺青を入れていました。研修中、風呂に入ったり、半袖になることもあるため、今のままだと新しい職場の人に刺青が見えてしまいます。転職先から刺青禁止とは言われてはいないものの、常識的に考えて刺青が快く受け入れられるとは思えなかったAさん。「何とか刺青を除去して欲しい」と亀山院長に泣きついたのでした。

時間が少ないとリスクの高い治療を受けることになることも

実は、刺青を除去するには一定程度の時間が必要です。レーザー治療なら最低でも1年以上、皮膚の除去手術でも術後に通院してもらい経過観察をするため、Aさんが望む3週間後の研修には到底間に合いません。

それでもAさんが、頑として除去を希望したため、亀山院長は「刺青は削れるが傷口がグジュグジュになる」、「感染症を起こしやすい」、「感染症が悪化し、腕を落とす」などの想定リスクをすべて説明した上で、イージークイックレーザー除去という治療法を提案。Aさんは、それらのリスクを理解した上で手術を望んだので、研修期間中、関西のクリニックで必ず術後の経過観察を受けることを条件に手術を行ったといいます。

刺青除去は手術よりも術後が大変!?

Aさんのように刺青を削った場合、通常7~10日間は専用のシートなどで保護します。3日後からは、ばい菌の繁殖を防ぐために積極的に傷口を洗うことを推奨しています。

「これはかなり痛いのですが、日本の水道水はきれいなので、消毒をするよりもシャワーでしっかり傷口を洗った方が治りが早いのです。その後、週に1回程度の通院をして傷口が完全に乾けば治療は終了です」(亀山院長)。

当然、個人差はありますが、治療が完了まで3~6月程度が目安。洗った際の傷口の痛みや、数ヶ月間に及ぶ通院を考えると、刺青除去がいかに大変かが分かります。

どれだけお金と時間があっても、傷跡は必ず残る

空っぽの財布を手にもっている様子 提供:file404/Shutterstock.com

幸いAさんは術後の経過もよく、刺青を削った傷口は3週間後には乾いて無事に研修に参加できたうです。ただし、刺青と同じ大きさのケロイド状の傷跡は残りました。亀山院長は「刺青除去は何を取って、何を捨てるか。どんなに時間と金をかけても基本的に傷は残ってしまいます」と強調します。

いくら時間とお金をかけても必ず傷跡は残りますし、除去を焦れば場合によっては命を落とすことにもなりかねません。Aさんの場合はたまたま、術後の経過が良かったのですが、刺青除去に関して、「早く、リスクなく、傷が残らない」はあり得ないと知っておくべきでしょう。

監修者亀山誠(横浜中央クリニック院長)

亀山誠先生の写真

2002年、昭和大学医学部卒業後、昭和大学藤が丘病院形成外科にて勤務。その後、多数の医局関連施設にて勤務。2009年、昭和大学藤が丘病院形成外科助教授に就任。2010年8月より、横浜中央クリニック院長に就任。

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