日本における刺青の歴史と現在

ひと昔前までは怖いイメージしかなかった刺青。近年は「タトゥー」として若い男女を中心に人気が出てきており、暖かい季節になると刺青がTシャツの裾からチラリと見える方も増えています。しかし、まだまだ「お断り」される施設も多い日本での刺青について、歴史から現状までレポートします。

ライター:DANVI編集部

古来から人の体を彩ってきた刺青…その歴史と意味

日本での刺青の歴史は古く、縄文時代の土偶からもその形跡が確認されており、人類の最も原始的な身体加工法と考えられています。7世紀中頃には一度衰退したものの、江戸時代初頭になると再び刺青ブームが再燃。遊女たちが馴染み客との愛を誓う文字を彫ったり、鳶や飛脚、火消しなどの肌を露出する仕事の男たちの間でも、“粋”や“心意気”を表す印として施され、「なければ恥」とまでされた時代もありました。

その後鎖国を経て、明治政府は「日本の恥ずべき未開部分」として刺青を厳しく規制しましたが、皮肉なことに海外からはその技術とデザイン性が高く評価され、多くの彫り師たちが海を渡ったといいます。

現在の刺青は、特定組織への「忠誠心」やその世界へ身を投じる「覚悟」を表すための刻印としての役割を果たしています。またデザインタトゥーと呼ばれる刺青も、若い人を中心に「ファッション」として浸透しはじめ、ワンポイントのおしゃれとして施す男女も増えています。

刺青は病院で!? 危ぶまれる彫り師たちの存続

タトゥーが浸透する反面、厚生労働省は度重なるアートメイクのトラブルを受け、2001年に「刺青やタトゥーを彫る行為は、医師にのみ許される」と通達しました。また2017年には、医師免許がない彫り師がタトゥーを施したとして医師法違反で起訴され、罰金15万円(求刑30万円)を言い渡されるという、驚きの判決が出されました。

では「針に色素をつけて、肌の表面に入れる」という行為は、本当に医師免許が必要なのでしょうか。海外の例を見ても、彫り師に医師免許が必要という国はなく、ほとんどが免許制や登録制を取っています。確かに日本でも、衛生面や技術力などの基準をしっかりと設けて、講習や研修などを修了した人へライセンスを発行するなどの必要性が、彫り師たちからも上がっています。玉石混合の彫り師やスタジオを、法整備によってしっかりと整理する時期を迎えているのかもしれません。

銭湯はOK、プールや温泉はNGのワケ

温泉などでよく見かける、「刺青・タトゥーの方は入れません」という看板。その理由を探ってみると…明治以降〜1948年まで非合法だった「刺青」は、暴力団などにおいては廃れることなく施され続けてきました。これにより刺青は「怖い」「危険」というイメージにつながり、周囲を威圧するものとしてプールや温泉では入場不可となったのです。

しかし町場の銭湯では刺青の人も時々見かけるのに、どうして? と疑問に感じている人もいるかもしれません。実はこの違い、「生活に必要な入浴」か「娯楽」かが分かれ目です。

銭湯での入浴を断れば、憲法に定めた「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」である「生存権」に抵触することになるため、「刺青お断り」はできません。しかし娯楽施設であるプールや温泉、スーパー銭湯などの商業施設は、他の利用客のイメージや店の雰囲気を優先して、入場不可を謳っているのでしょう。

変わりつつある刺青のイメージ…オリパラへの対応は?

まだまだ国内の刺青へのイメージが払拭されないなか、2020年のオリンピック・パラリンピックに向けて、刺青・タトゥーへの対応に変化の兆しが見えています。

例えば先駆的な経営で有名な「星野リゾート」では、タトゥーを隠すためのシールを配布して入場を可能にしたり、観光庁でも訪日観光客の急増を受け、タトゥーによる入場規制を緩和するように全国の宿泊施設に促しているようです。

理由は、日本人にとっての「刺青」と海外の「タトゥー」では、社会的意味や本人たちの認識に少々差があるという点。タトゥーを排除するのではなく、タトゥーが入った外国人観光客にも「温泉」や「スーパー銭湯」を楽しんでもらおうという方向性に変わりつつあるようです。

オリンピック・パラリンピックに向かって、刺青やタトゥーに対して日本人の親和性が少しずつ高まるかもしれませんね。

とはいえ…刺青やタトゥーはよく考えてから!

近い未来、刺青やタトゥーがより身近に感じられるようになることは確かです。しかし、結婚や就職を機に刺青を除去したいという人も増えています。

現在は、美容医療技術の発展・向上により、昔に比べると刺青除去での体の負担は少しは減っています。しかし、それなりの費用や時間がかかり、痛みを伴うのも事実。一時の気の迷いや勢いで刺青を施すには、その代償はあまりにも大きいといえます。刺青やタトゥーは、よく考えてから施しましょう。

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